06 紫外線(UV)照射装置の用途
紫外線(UV)照射装置が使用される業界とは
本記事では、紫外線(UV)照射装置が使用される業界について、詳しく解説していきます。
紫外線(UV)照射装置が使用される業界①:半導体
紫外線照射装置は、半導体の製造において重要な役割を果たしています。紫外線(UV)照射装置は主に、半導体ウエハーに関連して使用されます。具体的には、本露光、周辺露光、半導体ウェハーの洗浄、外観検査、UVテープの剥離などに用いられます。
その他、半導体の洗浄、外観検査、UVテープの剥離などの用途について、合わせて下記記事にて詳しく解説しております。
紫外線(UV)照射装置が使用される業界②:病院・医療施設
紫外線(UV)照射装置は、病院や医療施設における医療機器に使用されます。
具体的には、病院や医療施設での感染制御や滅菌処理に使用されます。紫外線照射は、微生物やウイルスの不活性化や除去に対して効果的な方法であり、医療機器の滅菌や感染症対策の一環として使用されています。
医療機器や器具は感染のリスクを含んでいるため、滅菌が必要です。医療機器の表面や内部に照射し、滅菌処理を行います。
また、滅菌以外の用途として、注射針製造工程において接着用途で使用するケースも御座います。紫外線照射による接着は、速乾性があり、強固に接着する事が可能です。硬化時間が短く、迅速に製品を組み立てることができるため、医療機器向けに使用されています。
紫外線(UV)照射装置が使用される業界③:水処理プラント
水道や浄水場では、バクテリア、ウイルス、寄生虫などの微生物がおり、殺菌や消毒が必要とされます。浄水場に使用される紫外線(UV)照射装置は、水中の微生物や病原体を不活性化させ、水の消毒や殺菌を行うための装置です。
水が通る透明な管内部に特定の波長の紫外線ランプを配置し、水がランプ周囲を通る際に、紫外線が水中の生物の核酸(DNAやRNA)に吸収されることで、生物の遺伝情報を破壊し、増殖を抑制または不活性化させます。これにより、細菌、ウイルス、寄生虫などの微生物が死滅し、浄水された水を得ることができます。
紫外線(UV)照射装置が使用される業界④:液晶業界
液晶業界、その中でもフラットパネルディスプレイ(FPD)(※以下FPD)において、紫外線(UV)照射装置は使用されます。FPDに使用される紫外線(UV)照射装置の用途は主に2つあります。
1つは、FPDの露光用途です。FPD(フラットパネルディスプレイ)露光装置とは、液晶パネル・有機ELパネルなど、小型から大型デバイス用ディスプレイを製造する際に、ガラス基板に画素回路を形成するための装置となります。 FPD露光装置の中で、レジストをスピンコートした際に発生する、液晶パネル周辺部の不要レジストを除去するために、UV(紫外線)照射装置が用いられています。
2つ目は、FPDを洗浄する用途です。FPDを洗浄する場合、エキシマ光を利用した洗浄、大気圧プラズマを応用した洗浄がありますが、UVを用いたオゾン洗浄がなされる場合もあります。UV光源としては水銀ランプが用いられ、オゾンによりFPD表面の有機物を除去します。
オゾン洗浄装置として半導体ウエハ用UVオゾン洗浄装置がありますが、FPD用はウエハ用と比較して高出力が求められます。また、ウエハと比較しFPDは大きく、照射ヘッドには一般的に、ライン型が用いられます。
紫外線(UV)照射装置が使用される業界⑤:印刷業界
紫外線照射装置は、印刷業界でも使用されます。具体的には、印刷用UVインキについて、硬化させるためにUV乾燥機が用いられており、UV乾燥機にはその名の通り、UV光源が搭載されています。求める波長や用途によっては、メタルハライドランプ、キセノンランプが用いられています。
UVインキについて、複数波長ではなく単一波長で硬化する種類もあり、出力的にもUVランプからUV-LEDに置き換えが可能であり、UV-LEDの採用が進んでいます。主な波長は395nm、405nmとなりますが、UVインキの硬化波長によって異なります。
紫外線(UV)照射装置が使用される業界⑥:インフラ
紫外線照射装置は、インフラ業界でも使用されます。具体的には、水道管工事に使用される補修装置には紫外線(UV)照射装置が搭載され、塩ビ管をはじめ破損した配管の修繕に用いられています。配管の内部から樹脂が塗布され、紫外線(UV)照射装置にて硬化します。施工時間が短く、紫外線(UV)照射装置を用いた修繕工法が広がっています。 光源にはメタルハライドランプが多く用いられています。
紫外線(UV)照射装置が使用される業界⑦:住宅
紫外線照射装置は、住宅業界でも使用されます。具体的には、住宅のフローリング・家具・ドアなどの木工製品について、耐摩耗性や耐薬品性を付加するためにコーティング材が塗布され、硬化させるためにUV照射装置が用いられています。材料の加工段階でコーティング・硬化される場合もあれば、住宅のフローリングのように材料が敷かれたとあとに、塗布・硬化される場合もあります。 UVの波長としては、254nm,365nm,405nmが用いられることが多く、コーティング材の種類によって異なります。
紫外線(UV)照射装置が使用される業界⑧:自動車
紫外線照射装置は、自動車業界でも使用されます。紫外線照射装置は、自動車業界でも使用されます。具体的には、車の塗装やコーティング、パテなどの硬化用途でUV照射装置が用いられています。表面コート剤硬化装置のUV光源には、一般的にUVランプが用いられていますが、UV-LEDの置き換えにより待機時間(立ち上がり)と発熱の改善、Hgレス等が実現できます。
各種業界における紫外線(UV)照射装置のアプリケーション
最後に、各種業界における紫外線(UV)照射装置のアプリケーションについて紹介します。
「業界①:半導体の事例」:半導体ウエハ用紫外線(UV)オゾン洗浄装置
半導体ウエハの洗浄用途で、UV照射装置が用いられています。UVを照射することでオゾンを生成し、オゾンによりウエハ表面の有機物を除去します。半導体ウエハ用UVオゾン洗浄装置は試作・開発用、量産用があります。試作・開発用は半自動で生産能力が低く、量産用は自動機となります。
「業界①:半導体の事例」:コーターデベロッパ用紫外線(UV)照射装置
半導体製造装置のコータデベロッパとは、フォトレジストの塗布と現像を行う装置です。シリコンウエハにレジストをスピンコートした際に発生するウエハ周辺部の不要レジストを除去するために、UV(紫外線)照射装置が用いられています。
「業界①:半導体の事例」:ステッパー用紫外線(UV)照射装置
ステッパーとは、半導体・液晶製造ラインで使用される投影露光装置です。ステップアンドリピート方式で露光を行い、本露光用とレチクル位置合わせ用としてUV(紫外線)照射装置が使用されています。
一般的には、本露光の光源としてUVランプが使用され、その光源からファイバーでUV光を導光させレチクルの位置合わせ用の照明として兼用されています。
「業界①:半導体の事例」:MEMS露光装置用紫外線(UV)照射装置
MEMSとはMicro Electro Mechanical Systemsの略で、シリコン基板・ガラス基板・有機材料などにセンサ・アクチュエータ・電子回路等をまとめて、多様な機能を集積化したデバイスのことを言います。
MEMS製造には一般的な半導体製造用露光装置ではなく、三次元の微細構造体を製作できるMEMS用露光装置が必要となります。その露光装置にUV光源装置が用いられています。
「業界②:病院・医療施設の事例」:ウイルス抑制・除菌装置用UV照射装置
商業施設や病院などで使用されるウイルス抑制・除菌装置用としてUV照射装置が使用されます。UVを照射することで、ウイルスや細菌のDNA/RNA構造が破壊されるため、ウイルス抑制・除菌が可能になります。
UV-Cを用いて除菌効果を持たせる他、UV-Aと光触媒により、除菌+脱臭効果をもつ装置もあります。
「業界②:病院・医療施設の事例」:脱臭・消臭器用UV照射装置
「業界②:病院・医療施設の事例」:注射針 樹脂・金属接合用UV照射装置
注射針製造工程において、PC(ポリカーボネート)と金属の接合用途として、UV照射装置が用いられています。PCは紫外線を吸収し劣化の懸念があるため、照射角度や出力など、最適化が必要になります。 照射ヘッドについては、スポット型・ライン型の双方が、仕様に応じて用いられます。
「業界③:水処理プラントの事例」:UV水除菌装置
水の除菌装置には、UV照射装置が搭載されています。水除菌装置の用途は、上下水道、飲料、ボイラー水など様々です。220nm程度の深紫外線領域のUVが用いられており、水銀ランプを光源にすることが一般的です。
「業界④:液晶業界の事例」:FPD露光装置用紫外線(UV)照射装置
FPD(フラットパネルディスプレイ)露光装置とは、液晶パネル・有機ELパネルなど、小型から大型デバイス用ディスプレイを製造する際に、ガラス基板に画素回路を形成するための装置となります。 FPD露光装置の中で、レジストをスピンコートした際に発生する、液晶パネル周辺部の不要レジストを除去するために、UV(紫外線)照射装置が用いられています。
「業界④:液晶業界の事例」:FPD用紫外線(UV)オゾン洗浄装置
FPDを洗浄する場合、エキシマ光を利用した洗浄、大気圧プラズマを応用した洗浄がありますが、UVを用いたオゾン洗浄がなされる場合もあります。UV光源としては水銀ランプが用いられ、オゾンによりFPD表面の有機物を除去します。
「業界⑤:印刷業界の事例」:UV乾燥機用照射装置
印刷用UVインキについて、硬化させるためにUV乾燥機が用いられており、UV乾燥機にはその名の通り、UV光源が搭載されています。
求める波長や用途によっては、メタルハライドランプ、キセノンランプが用いられています。
「業界⑥:インフラ業界の事例」:水道管補修用紫外線(UV)照射
水道管工事に使用される補修装置には紫外線(UV)照射装置が搭載され、塩ビ管をはじめ破損した配管の修繕に用いられています。配管の内部から樹脂が塗布され、紫外線(UV)照射装置にて硬化します。
「業界⑦:住宅業界の事例」:木工コーティング材硬化用UV照射装置
住宅のフローリング・家具・ドアなどの木工製品について、耐摩耗性や耐薬品性を付加するためにコーティング材が塗布され、硬化させるためにUV照射装置が用いられています。材料の加工段階でコーティング・硬化される場合もあれば、住宅のフローリングのように材料が敷かれたとあとに、塗布・硬化される場合もあります。
「業界⑧:自動車業界の事例」:表面コート剤硬化用UV照射装置
車の塗装やコーティング、パテなどの硬化用途でUV照射装置が用いられています。
表面コート剤硬化装置は、基本的にはハンドツールであり人手にて作業を行います。
表面コート剤硬化装置のUV光源には、一般的にUVランプが用いられていますが、UV-LEDへの置き換えが検討されています。UV-LEDの置き換えにより待機時間(立ち上がり)と発熱の改善、Hgレス等が実現できます。
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