04 紫外線(UV)照射装置の基礎
紫外線照度(強度)の測定が重要な理由
目に見えない紫外線だからこそ、その「強さ=照度」を正確に測定し、管理することが品質を左右する最も重要な要素となります。なぜ、紫外線照度(強度)の測定はそれほどまでに重要なのでしょうか。本コラムでは、その理由と、適正な照度を保つためのポイントを分かりやすく解説します。
紫外線照度(強度)とは
紫外線照度(強度)とは、「単位面積あたりに、どれくらいの強さの紫外線が当たっているか」を示す指標です。単位は通常、「mW/cm²」(ミリワット・パー・平方センチメートル)で表されます。
よく似た言葉に「積算光量」(単位:mJ/cm²)がありますが、これは「照度(強度) × 時間(秒)」で計算される光の総量です。
UV硬化や殺菌では、単に光の総量だけでなく、ある一定以上の「紫外線照度(強度)」がなければ、十分な効果が得られないケースが多くあります。
だからこそ、まず「照度(強度)」を正確に測定・管理することが基本となります。
照度測定が重要な理由
紫外線照度(強度)の測定が不可欠である理由は、主に4つあります。
■品質の安定化
UV硬化・接着のプロセスでは、照度が低すぎると硬化不良や接着力不足を招きます。逆に高すぎても対象物へのダメージや黄変、接着強度の低下につながる場合があります。殺菌においても、菌を不活化させるために必要な照度(強度)が定められています。常に同じ品質を保つためには、一定の照度(強度)を維持することが不可欠です。
■プロセスの再現性確保
同じ製品を別のラインで製造したり、装置を移設したりする場合、「ランプからの距離」や「ランプの個体差」で、設定が同じでも実際の照度(強度)は変わってしまいます。
そのため、紫外線照度(強度)を測定し、どこでも同じ条件を正確に再現することで同じ品質の製品を作り出すことが可能となります。
■ランプの劣化管理
UVランプは、自動車のヘッドライトなどと同じく消耗品です。使用時間に応じて必ず照度(強度)は低下していきます。「まだランプは点灯しているから大丈夫」と思っていても、気づかぬうちに照度(強度)が基準値を下回り、不良品を生産し続けてしまうリスクがあります。
照度測定を定期的に行うことで、ランプの劣化状態を正確に把握し、計画的にランプを交換する必要があります。
■トラブルシューティング
「急に硬化不良が出始めた」といったトラブルが発生した際にまず疑うべきはUV照射条件です。
照度(強度)を測定することで、問題がランプの劣化なのか、電源の異常なのか、あるいは材料側の問題なのか、原因を切り分けるための客観的なデータを得ることができます。
適正な照度(強度)を保つために必要なこと
では、どうすれば適正な照度(強度)を維持できるのでしょうか。重要なのは以下の3点です。
■定期的な照度(強度)測定
まずは、信頼できる紫外線照度(強度)計を用いて、プロセスの基準となる照度(強度)を把握し、定期的に測定する習慣をつけることが最も重要です。測定結果を記録し、劣化の傾向を管理しましょう。
■ランプや反射板の清掃
ランプの管や、光を効率よく集めるための反射板にホコリや樹脂の昇華物などが付着すると、それだけで照度(強度)は大きく低下します。
定期的な清掃は、コストをかけずに照度(強度)を維持するための効果的な手段です。
■計画的なランプ交換
照度(強度)の測定データに基づき、「初期値から〇%低下したら交換する」といった具体的な交換基準を設け、計画的にランプを交換します。
これにより、突発的な不良の発生を防ぎ、生産計画も立てやすくなります。
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