技術コラム/技術情報

ロングアークランプとは

紫外線照射装置における光源の一つであるロングアークランプは、その名の通り、ランプ内部の電極間の放電アーク長が比較的長い構造を持つ放電灯を指します。

ロングアークランプの基本的な構造は、高純度の石英ガラス管内に、タングステンなどの金属を主成分とする一対の電極が一定の間隔で配置され、内部にはキセノンや水銀、あるいはハロゲン化金属などのガスが封入されています。電源から高電圧が印加されると、電極間に絶縁破壊が生じ、封入されたガスがプラズマ化して発光します。この際、ガスの種類や封入圧によって発光スペクトルが変化し、紫外線領域を含む幅広い波長の光が得られます。

ロングアークランプは主にメタルハライドランプと高圧水銀ランプの2種類があります。

ショートアークランプが点光源に近い特性を持ち、集光性に優れるのに対し、ロングアークランプはその長いアーク長により、複数本のランプを並列に配置することにより、広い範囲を一度に照射するのに適しています。この特性から、広範囲のUV硬化や表面改質などに適した光源です。

ロングアークランプの特徴

ロングアークランプの特徴として以下があります。

広範囲照射

ロングアークランプは、長いアーク長を持つため、複数本配置することにより、広い範囲を一度に照射することが可能です。ロングアークランプの最大の特徴はこの広範囲照射と言えます。

ロングアークランプと他の紫外線光源との比較

ショートアークランプ

点光源に近い特性を持ち、集光性に優れています。微細な領域への高輝度照射や、精密な描画などに適していますが、広範囲への均一照射には光学系の工夫が必要です。ロングアークランプと比較してランプ寿命が短い傾向があります。

UV-LED光源

特定の狭い波長域の光を高効率で得られ、小型・長寿命・低消費電力という特長を持ちます。広範囲照射には複数のLEDを配置する必要があります。近年、高出力化が進んでいますが、現時点ではロングアークランプのような高出力を得るには多くのLEDを使用する必要があります。

低圧水銀ランプ

特定の波長（主に185nm、254nm）に強い光を発し、殺菌や表面改質などに広く用いられます。広帯域の光は得られませんが、U字型やストレート型、面照射型など様々な形状があります。

エキシマランプ

特定の波長の真空紫外線を高効率で発生させ、表面処理や洗浄などの用途で利用されています。ロングアークランプと同様に、複数本のランプを並列に配置することで広い範囲を一度に照射することが可能ですが、一般的なロングアークランプと比較すると導入コストやランニングコストが高い傾向にあります。

このように、ロングアークランプは、並列配置時の広範囲への均一な紫外線照射と比較的長いランプ寿命を両立する光源として、特に大型ワークピースの処理において重要な役割を果たしています。用途に応じて他の光源の特性と比較検討し、最適な光源を選択することが重要です。

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