04 紫外線(UV)照射装置の基礎
UVオゾン洗浄装置の仕組み
UVオゾン洗浄とは
UVオゾン洗浄とは、汚染物である有機化合物の結合エネルギーより強いエネルギーの紫外線を照射することで有機化合物の分解を行います。
同時に大気(酸素を含む雰囲気ガス)中にUV照射することでオゾン(O3)や励起状態の活性酸素(O)が生成されます。
非常に強力な酸化力を持つ活性酸素は結合を解かれた有機化合物と直ちに酸化反応して単純な分子であるCO2、H2O、O2などが生成され表面から揮発して除去(洗浄)されるというものです。

UVオゾン洗浄は、洗浄液を使用するウエット洗浄のように化学薬品を使用することがないため環境負荷が低減できることや、放電を利用したプラズマ洗浄のようにワークに熱や帯電ダメージを与えることがないという特徴があります。
一般的にUVオゾン洗浄には低圧Hgランプを使用しますがキセノンエキシマランプを使用する方法もあります。低圧Hgランプは185nmと254nmの2波長を同時に放射します。
大気中の酸素は185nmの紫外線を吸収してオゾンを生成し、生成されたオゾンはさらに254nmの紫外線を吸収して活性酸素が発生します。
活性酸素は有機化合物と結びついてCO2、H2O、O2などの揮発性物質となり除去されます。
一方、キセノンエキシマランプは単一波長の172nmを放射します。
低圧Hgランプが放射する185nmに比べてエネルギーが高く、オゾンや活性酸素をダイレクトに生成することで高濃度を保ち洗浄力を高めることが可能です。
エキシマランプのガラスには高価である高純度の合成石英ガラスを使用します。
高周波電圧を印加することにより点灯し、ランプが高温になるため冷却機能が必要になります。
また172nmは酸素による吸収が大きいためランプハウス内への不活性ガスのパージやワークへのブローが必要になります。
エキシマランプ光源装置は低圧Hgランプ光源装置よりも洗浄能力は優れていますが、装置の構造が複雑で高価になります。
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