脱臭・消臭に使用される紫外線照射装置
紫外線(UV)による脱臭・消臭とは
特定の空間におけるニオイ問題に対する根本的な解決策として注目されているのが「紫外線(UV)」を活用した脱臭技術です。
紫外線による脱臭・消臭は、薬剤や化学物質を使わずにニオイの元となる分子を根本から分解できるため、二次汚染の心配がなく安全性が高いことに加え、頻繁なフィルター交換も不要で、UVランプやUV-LEDの寿命が続く限り高い脱臭効果が持続します。
紫外線による脱臭の仕組み
一般的に紫外線による脱臭は、主に光触媒と組み合わせて行われるか、紫外線(UV)が空気中の酸素や水分に作用して生成されるオゾンや活性酸素の酸化力を利用する方法があります。
①紫外線(UV)×光触媒
一つ目は紫外線(UV)と光触媒を組み合わせることで脱臭する方法です。光触媒とは、光が当たることで自らは変化せず、ニオイの原因物質などを分解する化学反応を促進させる物質のことです。
【原理】
この方式では、酸化チタンなどの光触媒に紫外線 (UV) を照射します(アナターゼ型酸化チタンであれば387nm以下の紫外線)。光触媒に紫外線が当たると、その光エネルギーによって触媒の表面に、酸化力が強い活性酸素(ヒドロキシルラジカルなど)が発生します。
【脱臭プロセス】
発生した活性酸素は、悪臭の原因となる有機化合物(VOCなど)と反応し、その強力な酸化力で分子結合を切断します。最終的に、無害な水(H₂O)と二酸化炭素(CO₂)に分解します。
【特徴】
■高い安全性
オゾンのような酸化物質を空間に放出しないため、人がいる環境でも安心して連続運転が可能です。
■自己再生能力
光触媒自体は反応の前後で変化・消耗しないため、光源である紫外線ランプやUV-LEDが機能する限り、脱臭効果が持続します。
②オゾン生成
もう一つの方法は、紫外線が空気中の酸素や水分に直接働きかけ、強力な脱臭力を持つ「オゾン」を生成するアプローチです。
【原理】
この方式では、240nm以下の紫外線(UV)を空気中に照射します。この特定の波長の光は、空気中の酸素分子(O₂)と水蒸気(H₂O)の両方を効率よく光分解する高いエネルギーを持っています。酸素分子と水蒸気が分解されるとそれぞれ、オゾン(O₃)とヒドロキシルラジカルが生成されます。このようにして、240nm以下の紫外線は、脱臭の源となる2種類の活性酸素種を空気中から直接作り出します。
【脱臭プロセス】
生成されたオゾンなどの活性酸素が、悪臭の原因となる有機化合物(VOCなど)と反応します。その強力な酸化作用によって、ニオイ物質の分子結合を切断し、最終的にニオイのない無害な二酸化炭素(CO₂)や水(H₂O)へと変えます。
【特徴】
強力な脱臭力
オゾンやヒドロキシルラジカルの強力な酸化力により、しつこいニオイも短時間で分解します。さらに、これらの活性酸素は細菌やウイルスの構成成分にも作用するため、脱臭と同時に除菌・ウイルス不活化効果も期待できます。
高い拡散性
生成されたオゾン(O₃)は気体であるため、空間中に拡散して装置の設置場所から離れた場所にも作用します。効果を均一に行き渡らせるには、ファンや空調による空気の循環を併用することで、より高い脱臭・除菌効果が得られます。
脱臭・消臭に用いる紫外線照射装置のアプリケーション
①脱臭・消臭器用UV照射装置

住宅や病院などで使用される脱臭・消臭装置には、UV照射装置が利用されています。多くの装置では、本レポートで紹介したような、UV-LED(365nmなど)と光触媒の組み合わせで脱臭効果を得ており、殺菌用に深紫外線LEDが追加されることもあります。また、別の方式として、UV光源を用いてオゾンを発生させ、その酸化力で脱臭する装置もあります。
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②自動車 脱臭・除菌用小型UVランプ

これは自動車内の脱臭・除菌を目的とした、12Vで使用可能な小型のUVランプです。光源には殺菌効果の高い波長254nmの低圧水銀ランプを採用していますが、長寿命化を目的としてUV-LEDに置き換えることも可能です。
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