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06 紫外線(UV)照射装置の用途

紫外線(UV)照射装置が植物に与える影響について

一般に植物の生育を妨げるとされる紫外線ですが、実は光の波長や量を調整することで、病害への抵抗力を引き出す効果も持っています。
本記事では、そんな紫外線が植物に与える様々な影響について、紫外線を植物に照射するメリット・デメリットから植物の抵抗力を引き出す仕組みまでを分かりやすく解説します。

植物に紫外線(UV)を照射するメリット・デメリット

メリット

農薬使用量の削減

植物の免疫力を高めて病気を予防するため、これまで使用していた殺菌剤などの農薬を大幅に削減できます。これにより、コスト削減はもちろん、環境や消費者にとっても安全な農業が実現します。

収穫量・品質の向上

病気による品質低下や収穫量減を防ぎ、安定した生産を後押しします。また、副次的な効果として、紫外線が植物の色素(アントシアニンなど)の生成を促し、果実の色づきが良くなることも報告されています。

デメリット

生育阻害のリスク

紫外線の照射量や時間が過剰になると、光合成を阻害したり、細胞にダメージを与えたりして、生育が悪くなる可能性があります。

葉焼け

強い紫外線を当てすぎると、人間の肌が日焼けするように、植物の葉が変色してしまう「葉焼け」を起こすことがあります。

これらのデメリットは、植物の種類や生育状況に合わせて、紫外線の波長、強度、照射時間を適切に設定することで回避できます。専門的な知見に基づいた装置の選定と運用が重要です。

紫外線(UV)照射装置が植物に与える影響

①植物の病害を抑制する

紫外線による植物の病害抑制では、人工の光源(UVランプやUV-LED)を用いて特定の波長の紫外線を植物に照射し、病原菌への抵抗力を高めます。特に、農業ハウス内で発生しやすい「うどんこ病」など、カビが原因で起こる病気に高い効果を発揮します。農薬に頼らず、光の力で病気を防ぐため、環境負荷が少なく、安心安全な作物づくりに貢献する技術として注目されています。

②侵略的外来植物の繁茂を抑制する

紫外線は植物の生育を抑制する効果も持つため、畑地や河川敷などで問題となる侵略的外来植物の繁茂抑制にも活用されています。人工の光源(UVランプやUV-LED)を用いて、特定の波長や強度の紫外線を照射することで、不要な植物の成長を抑えられれば、生態系や農業環境の保全に貢献できます。

植物の病害抑制が起きる仕組み

では、なぜ紫外線を浴びると植物は病気に強くなるのでしょうか。

これは、紫外線によって植物の「誘導抵抗性」が引き出されるためです。
植物は、紫外線(特にUV-B領域)を浴びると、それを病原菌の接近を知らせる合図として捉え、実際に病原菌に感染する前から、抗菌物質や防御タンパク質などを体内で作り始めます。
人間がワクチン接種をして免疫を獲得するように、植物はあらかじめ免疫システムを活性化させておくことで発病を未然に防ぐことにつながります。

紫外線(UV)照射装置のアプリケーション

本記事で取り上げた紫外線(UV)が植物に与える影響に着目すると下記のようなアプリケーションが考えられます。紫外線照射装置を用いて紫外線の力を正確にコントロールすることで、植物を病害から守る活用方法や、不要な植物の成長を抑制する活用方法です。

①植物病害抑制用紫外線照射装置

農業分野において、うどんこ病などの植物病害を抑制する目的で紫外線照射装置が活用されている事例です。植物の免疫機能を活性化させる効果があるUV-B領域の紫外線を照射することで、農薬に頼らず植物自身の抵抗力を引き出し、病気を防ぎます。
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②侵略的外来植物の繁茂抑制用紫外線照射装置

畑地や河川敷などにおいて、侵略的外来植物の繁茂を抑制する目的で紫外線照射装置が活用されている事例です。植物の生育を阻害するという紫外線のデメリットを逆手に取り、生育に影響の強い紫外線を照射することで、除草剤に頼らず対象植物の光合成や種子形成を阻害し、その繁茂を抑制できる可能性があります。
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