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04 紫外線(UV)照射装置の基礎

紫外線照度(強度)計と紫外線モニターの役割の違いと正しい選び方

紫外線(UV)を利用した硬化・接着・殺菌といった工程において、製品の品質を安定させるためには、照射する紫外線の「光量」を正確に管理することが不可欠です。

しかし、UVランプは使用時間と共に必ず劣化し、光量は徐々に低下していきます。この変化を管理できていないと、「昨日までOKだったのに、今日は硬化不良が出た」といったトラブルに繋がりかねません。

その光量管理に用いるのが「紫外線照度(強度)計」と「紫外線モニター(UVモニター)」です。この2つは混同されがちですが、似て非なるものであり、それぞれに明確な役割があります。

 

紫外線照度(強度)計とは

紫外線照度計とは、「今、ここの紫外線は、どれくらいの強さか?」を数値で正確に把握するための『測定器』です。
特定の面が受ける紫外線の強さ(=照度)を、「mW/cm²」という単位で測定します。また、機種によっては、照射された紫外線の総エネルギー量(=積算光量)を「mJ/cm²」で測定することも可能です。

一般的にはハンディタイプが多く、作業者が測定したい箇所にセンサーを配置し、その瞬間の光量をピンポイントで測定します。

 

紫外線照度(強度)計の主な役割

①絶対値の把握と基準設定

「照度1,000mW/cm²で3秒間照射する」といった、生産プロセスの絶対的な基準値(レシピ)を決定するために使用します。これは新しい生産ラインの立ち上げや、品質基準を策定する上で全ての基本となります。

②定期メンテナンスや精度検証に使用

「月に一度、ランプ直下の照度(強度)を測定し、初期値から30%低下していたらランプを交換する」といった、定期的な品質管理・メンテナンスに用います。装置に常設されたUVモニターの数値が正しいかを確認する「校正」の役割も担います。

紫外線照度(強度)計は、いわばプロセスの品質を担保する基準を決めるための、信頼できる「ものさし」のような存在です。

  

紫外線モニター(UVモニター)とは

紫外線モニターとは、例えば製造装置に常時取り付け、「紫外線の光量が安定しているか?」をリアルタイムで『監視(モニタリング)』するための装置です。

紫外線照度(強度)計のように絶対値(mW/cm²)で表示するものもありますが、多くはランプの安定状態を100%として、現在の光量が何%であるか、といった相対的な変化を監視する目的で使われます。

紫外線モニター(UVモニター)の役割

①常時監視による品質保証

生産中、常に光量を監視し、設定した管理値(例:80%)を下回った場合にアラートなどを発するように運用した場合、光量の低下を即座に検知することができ、リアルタイムでの品質保証を実現することも可能です。

②ランプ劣化の早期検知

UVランプの僅かな光量低下を常時捉え、ランプの交換時期を的確に知ることができます。これにより、「気づかぬうちに光量が落ちていて、不良品を大量生産してしまった」という事態を未然に防ぎます。

③生産の安定化

照射装置の立ち上がり時や、外部環境の変化による光量のふらつきを監視し、プロセスが常に安定した状態で行われていることが確認できます。

    

【一覧表】紫外線照度(強度)計と紫外線モニター(UVモニター)の違い

両者の違いをまとめると、以下のようになります。

比較項目紫外線照度(強度)計紫外線(UV)モニター
役割プロセスの基準値を決める【測定器】プロセスの安定性を保つ【監視装置】
測定目的絶対値の把握(例:1,000mW/cm²)相対値の変化の監視(例:80%に低下)
使用タイミングプロセス条件設定時、定期的メンテナンス時常時(生産中)
設置方法ハンディ(手持ち)で都度測定装置に常設・固定

 

どちらを選ぶべきか

最適な品質管理のためには、どちらか一方を選ぶのではなく「両方を適切に使い分ける」ことが重要です。どちらを選ぶべきか、選び方について最後にご紹介いたします。

基準設定・定期確認には「紫外線照度(強度)計」

まず紫外線照度計を使用して最適な照射条件(基準値)を決定します。そして、その基準が維持されているか、月に一度などの頻度で定期的に測定・確認し、プロセスの健全性を保ちます。

日々の生産管理には「紫外線(UV)モニター」

日々の量産においては、紫外線モニターを使用することで光量を常時監視することができます。万が一のランプ不点灯や急な光量低下が発生しても、即座に検知して生産を止めることで、不良品の流出を最小限に抑えます。

ARKの紫外線モニターは、各社紫外線照度計の絶対値とほぼ同じ値を表示させて使用することが可能です。日々の紫外線照度(強度)管理にはUVモニターを使用し、定期的に紫外線照度(強度)計との相関をとることによって、紫外線照度(強度)計自体の劣化を最小限に抑えることが可能となります。

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